詩人、野口雨情

赤い靴

初出誌 : 「小学女生」 大正10年12月
付曲 : 本居長世


赤い靴 はいてた
女の子
異人さんに つれられて
行つちやつた

横浜の 埠頭(はとば)から
船に乗つて
異人さんに つれられて
行つちやつた

今では 青い目になつちやつて
異人さんのお国に
ゐるんだらう

赤い靴 見るたび
考へる
異人さんに 逢ふたび
考える


親元を離れアメリカ人夫妻の養女となりましたが、病のために渡米することが出来ず、わずか9歳で夭折した少女がモデルとなったといわれています。
雨情は著書『童謡と童心藝術』の自作解説で、「この童謡は表面から見ただけでは単に異人さんにつれられていつた子供といふにすぎませんが、赤い靴とか、青い目になつてしまつただろうとかいふことばのかげにはその女の児に対する惻隠の情がふくまれてゐることを見遁さぬようにしていただきたいのであります。」と述べています。

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